こちらの画集は1996年3月に発行した画集です。

画集&詩集「月桂樹」
発刊によせて

元 内閣総理大臣                  
   (故)竹下 登

               
 森務さんとは長いおつき合いになります。私は縁あって森
さんご夫妻とご子息夫妻の結婚式で二代にわたって媒酌人を
務めました。その良き友人の一人である森さんが、このたび
自らの作品を一つにまとめて画集&詩集「月桂樹」を出版さ
れることは、まことに意義深い企画であり、心からお祝いの
言葉を贈リたいと存じます。
 

森さんの画才については、すでに数々のすぐれた作品を通
して、よく承知いたしておりましたが、詩作までも手がけて
おられたことを初めて知り、幅広い才能に改めて感服した次
第です。森さんの作品の中には”老い”をテーマにした幾つ
かの秀作があり、強く印象に残っております。 しかし、最近
のお孫さんをモデルにした明るい作品やパリ郊外の風景を描
いたスケッチなども実に新鮮で楽しく拝見しているところです。
 また若かりし頃創作された詩の行間からは、森さんが少年
時代から一貫して探究してこられたロマンの香りと豊かな人
問性が感じられて、深く心に残りました。
 私は竹下政権当時から文化交流の拡充を柱の一つとする国
際貢献の必要性を提唱してまいりましたが、日頃から多忙な
公務の合間を見つけては、絵画展などにもなるべく足を運ぶ
ようにしています。そして、そのたびに芸術の偉大さ奥深さ
に心打たれます。
 

たしかイタリア・ルネッサンス期の画家ミケランジェロは
 「絵はわが生命」という言葉を残しています。彼は巨匠とし
ての地位を不動のものとした後もなお「私は今も修業してい
る」というのが口ぐせだったそうです。まさに人生は短く芸
術は長いという思いがいたします。
 このたびの画集&詩集『月桂樹』の出版を一つの節目とし
て、森務さんがさらに大きく飛躍され、すぐれた多くの作品
を創り出されることを祈念申し上げ、私のお祝いの言葉とい
たします。
1996年5月10目

(故)竹下 登(たけした のぼる、1924年(大正13年)2月26日 – 2000年(平成12年)6月19日)は
日本の政治家。位階は正二位。勲等は大勲位。竹下家第12代当主。

内閣総理大臣(第74代)、衆議院議員(14期)を務めた。