伊藤三千男君を悼む・横浜「ハマ展」鑑賞記
2021年10月、親友であり画友である伊藤三千男君を亡くし、誠に残念、寂しい限り、痛恨の極みです。昭和34年春、4年間共に学んだ我々は早稲田を卒業、その折に、美術研究会に所属していた私が油彩の道具、絵の具箱・絵の具・イーゼル・キャンバス等一式を彼の求めにお応じて、何気なくプレゼントした事を鮮明に思い出しています。卒業後、伊藤君はNHKに私は東京トヨペットに就職、その後、我々は日々仕事に子育てに明け暮れた日々を過ごし、私は42歳で独立、小規模ながら会社を創業、ビジネスに奔走する毎日でありました、幸い東京トヨペット時代に所属した絵画部で指導を受けた恩師新海覚雄先生の引きで多忙の間でも公募美術団体創展の第1回展に入選以来56年間連続出品し会友・準会員・会員・理事選考委員・2018年には会長に就任した画歴を持っていますが、定年までサラリーマン人生を送った伊藤君も趣味が高じて卒業後の同期会で会つた時は、創展よりも更に歴史の古い公募美術団体である白日会の会員として活躍していました。卒業後は、お互いに画業を通じ更に親密度が深くなって行き今日に至った次第ですが、伊藤君の弁に依れば、絵画の世界に足を踏み入れたきっかけは、私のプレゼントした油彩画道具にあったとの事でしたので2人で大いに盛りがったものでした。その伊藤君が癌に冒されながらも最後に描いた仏像の絵を彼の地元横浜を代表するハマ展に出品していることを奥様のお手紙で知り11月9日大雨の中、ハマ展を鑑賞、伊藤君の懐かしい筆使いを確かめながら、仏像を永年モチーフに絵を描いて来た彼の生き様に改めて深い感慨に覚えました。余談ですが、伊藤君はNHKの子会社の役員も務めて定年、その後、突如として母校早稲田大学大学院に進学、政治経済修士課程を修め、更に博士課程を志す変わり者の努力家でした。
伊藤君のご冥福を祈り彼の絶筆となった仏像の絵の写真を掲載し鑑賞記と致します。
2021・11・13 森 務